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公益通報者保護法が改正されました

皆様こんにちは、HiELCC 弁護士の下西です。

公益通報者保護法が改正されました

 公益通報者保護法をご存知でしょうか?2000年代に食品の偽装表示や自動車のリコール隠し等が従業員からの内部通報にて相次いで発覚しました。他方で、公益のために内部通報をした従業員が解雇等の不利益、ハラスメント等を受けることがあり、このような事態を回避するために公益通報者保護法が制定され、2006年4月1日に施行されました。

 法の概要としては、労働者が、不正の目的ではなく、雇用先における刑事罰の対象となる不正行為を通報したときに、解雇や、降格・減給などの不利益な取り扱いを禁止するという法律です。雇用先へ通報する場合よりも行政機関に通報する場合の方が保護される要件が厳しくなっています。

 しかし、当時の公益通報者保護法には、以下のようないくつかの問題がありました。

 ① 事業者側に内部通報のための体制を構築する法的義務を課しておらず、制度が形骸化していたこと

 ② 通報者が事業者から不利益取扱いを受ける事案がなお発生していたこと

 ③ 通報者の範囲、対象事実の範囲、保護されるための要件が狭く、通報者が法的保護を受けられないため萎縮してしまう

 そこで、2010年から公益通報保護法の見直しが議論され始めて、2020年に改正法が国会で成立し、2022年6月1日から新しい公益通報者保護法が施行されました。改正法では、次の3つの観点から見直しがされています。

 ① 事業者自ら不正を是正しやすくするともに、安心して通報を行いやすくする

 ② 行政機関等への通報を行いやすくする

 ③ 通報者をより保護する

 具体的には、①に関連して、事業者は、内部通報に適切に対応するための義務を負うことが明記され、公益通報対応業務従事者を定めること、内部通報窓口設定・調査・是正措置等の体制整備等義務が課されることとなりました。また、これに従わない場合には、行政指導や企業名公表等の措置が講じられることになりました。また、公益通報者対応業務従事者に業務上知り得た事実について守秘義務を負わせ、これに違反した場合には刑事罰を負わせることとしました。

 また、②に関連して、行政機関への通報の場合の保護要件を緩和し、対象事実がまさに生じようとしていると信じるに足りる相当の理由がある場合に加えて、対象事実が生ずるおそれがあると思料し、かつ氏名や通報対象事実の内容等を記載した書面を提出した場合も含まれることとなりました。また、報道機関等へ通報する場合の保護要件も緩和され、生命・身体だけでなく回復困難な重大な財産上の損害が発生する恐れがある場合や、通報者を特定させる情報が漏れる可能性が高い場合等が加えられました。

 最後に、③に関連して、退職後1年以内に通報した退職者も公益通報者として保護することや、法人の役員も公益通報者に追加したこと、さらに通報対象事実に刑事罰だけでなく、行政上の過料というペナルティーが科される行為も加えられる改正がなされました。また、通報者が、通報したことを理由に事業者から損害賠償請求を受ける場合に賠償義務を免れるための規定も新設されました。

 今回の法改正は、内部通報により早期に不祥事を是正し、被害の防止を図ることを目的として、事業者側にも法的義務を課すこととなっております。従業員数300人以下の中小企業は努力義務ではありますが、早急に事業者としても内部通報に適切に対応するために必要な体制整備をする必要がありますので、是非、消費者庁の指針やガイドライン等を参考に体制整備を進めていただきたいと思います。

※「公益通報者保護法の制度概要・ガイドライン・指針」などの資料について →
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/

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