統計から読み解くハラスメントの実情
こんにちは。HIELCCの相談員をしています特定社会保険労務士の石田達則です。
労働施策総合推進法が改正され、職場におけるパワーハラスメント対策を実施することが、大企業は令和2年6月1日から、中小企業は令和4年4月1日から義務となりました。これによりセクシャルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントと同様に、パワーハラスメントについても事業主の方針の明確化及びその周知・啓発の実施・相談に応じること、適切に対応するために必要な体制の整備をすること、パワーハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応等を雇用管理上の必要な措置として実施する必要があります。
そこで、実際のハラスメントの実態把握やその問題・課題理解の参考として、関係する統計資料をご紹介します。
「令和2年度厚生労働省委託事業職場のハラスメントに関する実態調査」(以下「ハラスメント実態調査」という)によると、過去3年間に相談があったハラスメントの内容については、高い順に次のとおりです。
① パワーハラスメント(パワハラ):48.2%
② セクシャルハラスメント(セクハラ):29.8%
③ 顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ):19.5%
④ 妊娠・出産・育児休業等ハラスメント(マタハラ):5.2%
⑤ 介護休業等ハラスメント:1.4%
⑥ 就活等セクハラ:0.5%
このように、ハラスメントの中ではパワハラが過半数近くを占めています。このことは、厚生労働省から発表された「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」の最も多かった相談内容が11年連続で「いじめ・嫌がらせ」であることからも裏付けられます。 また、意外と多くなっているのがカスハラです。カスハラとは、例えば顧客等からの「長時間の拘束や同じ内容を繰り返すクレーム」や「名誉棄損・侮辱・ひどい暴言」等のことで、多くは主に顧客との接点が多い職種で発生してくると考えられます。 先ほどのハラスメント実態調査では、過去3年間にハラスメントを受けた経験・頻度について労働者にも質問しており、ハラスメントを一度以上経験した者の割合は高い順に次のとおりです。
① パワーハラスメント(パワハラ): 31.4%
② 顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ):15.0%
③ セクシャルハラスメント(セクハラ):10.2%
このように、やはりパワハラが一番多い結果となっていますが、実際に受けたハラスメントとしては、セクハラよりカスハラが多くなっていることは注目されます。接客対応の多い業種ではカスハラ対策が重要な労務管理事項となります。
次に、令和4年度「過労死等の労災補償状況」についてご紹介します。
この調査は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回取りまとめたものです。
この調査で精神障害に関する事案の労災補償状況を確認すると、労災請求件数は2,683件で前年度比337件の増加となっており、実際に支給決定した件数は710件で前年度比81件の増加となっています。
注目すべきは、支給決定の要因となった具体的な出来事についてです。その上位5項目は次のとおりです
① 上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた:147件
② 悲惨な事故や災害の体験、目撃をした:89件
③ 仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった:78件
④ 同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた:73件
⑤ セクシュアルハラスメントを受けた:66件
このように、ハラスメントに関する事項が①、④、⑤と3項目入っており、精神疾患とハラスメントとの因果関係が高いことがわかります。 ハラスメントは当事者のみならず組織全体を機能不全としうる問題行為です。事業者にはハラスメントの内容、実施すべき措置内容、対応を理解し、ハラスメントの発生を許さない、また発生した場合も迅速・適切に対応できる体制づくりが求められます。…
会社づくりの第一歩
~就業規則の整備で末永く働ける環境づくり~
就業規則は会社のルールブックです。 作成時に記載しなければならない事項や変更時の留意点を特定社会保険労務士と弁護士が 解説いたします。
本セミナーはこんな方にオススメです!
・就業規則を初めて作成する方
・就業規則を作成した後の流れが知りたい方
・就業規則を変更する際の留意点を聞きたい方
・就業規則に記載する懲戒の種類が知りたい方
・人事労務担当者様で就業規則に関する知識を深めたい方
セミナー概要
・開催日時/2023 年 11月 15 日(水)13:30~16:30
・開場時間/13:15
・場所/広島商工会議所(定員:20名) + オンライン(定員:100名)
〒730-0011 広島市中区基町 5-44 広島商工会議所ビル 306 号
・対象/事業主、管理職、人事労務担当者
・共催/
広島県/広島労働局/公益財団法人産業雇用安定センター広島事務所
講演1>
13:30~14:30 講師/ 福田 亜見 特定社会保険労務士
就業規則はこう作ろう!
就業規則の記載事項とその作成ポイント
<概要項目>
・就業規則は会社と従業員を守るためのルール
・記載しなければならない事項(絶対的記載事項と相対的記載事項)
・作成と届出と周知までの流れ
・就業規則と個別の労働契約に対する効力
・懲戒の種類と程度
講演2>
14:40~15:40 講師/一久保 直也 弁護士
なぜ就業規則が必要か、その就業規則でいいのか
~就業規則の作成方法と注意点~
就業規則の必要性と既に就業規則がある会社の就業規則のチェックポイント
<概要項目>
・就業規則の作成義務について
・就業規則がない場合に起きる問題について
・就業規則があればそれでよいか、内容面で見て欲しいところ
・就業規則と法律の関係
・就業規則を変更する場合に注意してもらうポイント
ご案内>
15:40~15:50
広島県/広島労働局/公益財団法人産業雇用安定センター広島事務所…
こんにちは。HiELCCで相談員をしています弁護士の長井です。
会社の『営業秘密』が不正利用された、などという裁判に関する報道がされることがありますが、今回は会社の秘密情報の取り扱いと従業員の秘密保持について考えていきます。
会社の秘密情報という言葉の語感からすると、会社から外部に出すことを前提としない営業に関する情報、という何となくのイメージはできるかもしれません。しかし、ここでイメージするような『営業秘密』がすべて不正競争防止法などの法律によって無条件に保護されているわけではありません。
不正競争防止法には
『営業秘密』(1条6項)の意味が書いてあり、①秘密として管理されている(秘密管理性)、②生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報(有用性)であって、③公然と知られていないもの(非公知性)、という3つの用件を満たすものに限定されています。
この『営業秘密』に該当すれば、不正に取得した者に対し民事上の損害賠償請求をしたり,刑事上の責任を問うことはできます。
他方、この『営業秘密』のレベルに達しない情報であれば従業員に持ち出されても何もできない,というわけではありません。
従業員には一般的に会社との関係で労働契約に付随する義務として秘密保持義務があるとされていますが、このことを明確に意識してもらうためにも、就業規則に秘密保持義務の条項を設けておく必要があるでしょう。
それだけでなく,「入社・採用時」,「在職中(一定の役職への昇進時,部署の異動時など)」,「退職・契約終了時」といった節目で秘密保持に関する誓約書の作成を求めることも有用です。それだけでなく,定期的に会社の秘密情報の取り扱いや不正に利用された場合の対応などについて研修を行うことも望ましいといえます。
ただ、従業員からすれば会社内の情報で一体どこまでの情報を慎重に扱わなければならないのか分かりにくい、ということはあるかもしれません。そうした場合は会社の規模にもよるでしょうが,社内の情報を「機密情報」「業務情報」「公開情報」などに分類して,公開情報以外の取扱い方法を社内規程などで具体的に定めるという方法も考えられます。
いずれにしても秘密情報を守るためには会社も従業員も相応の努力をする必要があります。
必須 参加希望セミナーを選択
—以下から選択してください—5月22日開催【会場】 労働条件の明示ルール改正5月22日開催【web】 労働条件の明示ルール改正6月19日開催【会場】 会社づくりの第一歩・就業規則6月19日開催【web】 会社づくりの第一歩・就業規則7月16日開催【会場】 今後の定年延長に向けた準備と対策7月16日開催【web】 今後の定年延長に向けた準備と対策
必須 お名前
必須 メールアドレス
必須 電話番号…
2020年8月11日(金)~2020年8月14日(月)
8月15日(火)9:00から平常通り営業いたします。 休業期間中のHPやメールでのお問い合わせに対する回答は、8月15日(火)以降となります。 期間中は大変ご不便をお掛けいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 それでは今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
\こんなお悩みありませんか?/
相談は 無料! お気軽にお問合せください。 特定社会保険労務士と弁護士が皆さんの疑問にアドバイスいたします。
・同一労働・同一賃金って何!?
・パワハラの罰則とかあるの?
・就業規則って必要なの?どうやって作ればいいの?
・日本国籍を持っていない人を雇いたいけど、どうしたらいいの?
・労務管理って何をすればいいの?
わからないことも含めて、まずはお気軽になんでもご相談ください。
必須 お名前
必須 メールアドレス
任意 電話番号
…
両立支援で支える制度づくり
~人材確保のための両立支援~
介護・育児・病気治療等など、さまざまな事情を抱える社員への適切なフォローと対応を実施することで事業拡大・発展へとつながることを知っていますか? 第1部では両立支援の状況と留意事項について、第2部では具体的な判例をもとに法的課題についてご説明いたします。 ちょっとした疑問をお持ちの方やこれから取り組むべき対策を知りたい方、セミナーに参加してみませんか? 1部のみ、2部のみでもご参加いただけますのでまずはお気軽にお申込みください。
こんな方にオススメ! ・社員が病気治療を行っており両立支援について理解を深めたいと思っている方 ・総務、人事労務の担当者として両立支援について自分の知識を確かめたい方 ・治療や介護と仕事を両立しながら働く社員を応援したい、よりよい仕組みを知りたい方 ・社員の継続率をアップするため、より継続して働く選択肢を増やしたいと感じている方 ・介護をしながらの仕事の仕方等で、よく従業員の方から相談を受けている人事担当者の方
セミナー概要
日時:2023年10月19日(木)13:30~16:00 (開場時間:13:15)
場所:広島商工会議所(定員:20名) + オンライン(定員:100名) 〒730-0011 広島市中区基町5-44 広島商工会議所ビル 306号
対象:事業主、管理職、人事労務担当者
共催:独立行政法人 労働者健康安全機構 広島産業保健総合支援センター
講演1/13:30~14:30 | 講師:特定社会保険労務士 前田 章湖
両立支援セミナー …
HiELCCコラムをお読みいただいている皆様、こんにちは。
相談員の福田です。
5月のGWは、皆様はどのように過ごされましたでしょうか。
外出自粛やマスク着用などのコロナ対策も緩和され、遠出された方々もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
さて、今日は毎年6月1日~7月10日の間に行う、労働保険の年度更新についてご案内したいと思います。
皆様こんにちは、HiELCC 弁護士の下西です。
公益通報者保護法が改正されました
公益通報者保護法をご存知でしょうか?2000年代に食品の偽装表示や自動車のリコール隠し等が従業員からの内部通報にて相次いで発覚しました。他方で、公益のために内部通報をした従業員が解雇等の不利益、ハラスメント等を受けることがあり、このような事態を回避するために公益通報者保護法が制定され、2006年4月1日に施行されました。
それって、ハラスメント?
身に覚えのないハラスメントでトラブルになる前に ~事業主・労務管理職向け~
指導が行き過ぎてしまい、従業員のメンタル不調につながってしまった。パワーハラスメントを意識した結果、適切な指導が出来ていないように感じる・・・。今回は「ハラスメント」の現状について事例を交えながら理解をするところからはじめ、事業所が実施するべき対策について学びを深めていきましょう。
2022年4月から、中小事業主においても職場におけるパワーハラスメント防止措置を講じることが義務化されています。今回のセミナーでは、実際に事業所が実施すべき雇用管理上の措置の内容は、どういったことなのかという視点と、ハラスメント予防・対応のポイントや経営陣・管理職に求められる視点について事例を交えながら解説いたします。
【こんな方におすすめのセミナーです】 ハラスメントに関わる以下のような課題、悩みを抱える経営者・事業主・労務管理担当者の方 ・パワハラ・セクハラ・マタハラ等関連法令の理解を深めたい ・ハラスメント法令の理解を深め、事業所が実施するべき対応について学びたい ・パワーハラスメント予防のために必要な対応は? ・これってセクハラ?これってパワハラ?近時の裁判例や不祥事事案に見られる社会における「物差し」の変化を踏まえ予防・対応のポイントをおさえたい
セミナー概要
日時:2023年9月28日(木)13:30~16:30
開場時間: 13:15
場所:エソール広島 研修室1(定員:20名) + オンライン(定員:100名)
〒730-0051 広島市中区大手町一丁目2番1号おりづるタワー10階
対象:事業主、管理職、人事労務担当者
共催:公益財団法人 広島県男女共同参画財団(エソール広島)
講演1/ 13:30~14:30 | 講師/特定社会保険労務士 石田 達則
ハラスメント法令の理解と事業所が実施すべき対応
パワハラ・セクハラ・マタハラ等関連法令の理解と、事業所が実施すべき雇用管理上の措置、相談対応、その他の留意事項について解説します。
<概要項目>
統計からみるハラスメントの現状
パワハラ・セクハラ・マタハラ等各ハラスメントの理解
ハラスメントと労災…
皆様こんにちは。HIELCCの相談員をしています特定社会保険労務士の佐々木亮です。
今回は、労使協定等の締結時に必要となる「労働者代表(過半数代表者)の選任」について取り上げたいと思います。毎年更新が必要な「時間外・休日に関する労使協定(36協定)」の締結や「就業規則の作成・変更」を行う際に、労働組合がない場合、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出して、協定の締結や意見を述べる当事者とする必要があります。
こんにちは。HiELCC相談員をしている弁護士の山崎です。
先日、このコラムで、不合理な待遇差の禁止について定めたパートタイム・有期雇用労働法8条について説明しました。そこで今回は、平成30年と令和2年に相次いで出された最高裁判所の判例についてもポイント解説をしたいと思います。
上記最高裁判所の判例で押さえておくべきポイントは次のとおりです。
正規雇用労働者、短時間労働者、有期雇用労働者、パートタイマー、アルバイト、派遣社員、委託・請負社員など、多様な働き方(雇用区分)がある中で、それぞれの雇用区分により、労働時間・契約期間・給与などの労働条件が異なってきます。
今回のセミナーでは主に非正規雇用者を採用する際の注意点について解説いたします。
●第1部では、正規雇用労働者と短時間労働者、有期雇用労働者の違いをはじめに、 短時間労働者、有期雇用労働者からみて魅力ある会社など、事例も交えながら解説予定です。 ●第2部では、非正規労働者(特にパートタイム労働者、有期雇用労働者)に適用される労働法上の重要ルールについて各法律の重要判例の紹介も交え解説予定です。
【こんな方にオススメのセミナーです】 ・非正規労働者、有期雇用労働者、パートタイム労働者の採用を検討中の人事労務担当者 ・これから起業を検討している方 ・ベンチャー企業の方、事業拡大に伴う雇用拡大を予定の方 ・人事労務担当者 ・人事・労務管理の基本を学びなおしたい方
<概要>
■日時:2023年8月24日(木)13:30~16:30 ■開場時間: 13:15〜 ■場所:広島商工会議所(定員:20名) + オンライン(定員:100名) 〒730-0011 広島市中区基町5-44 広島商工会議所ビル 306号 ■対象:人事労務担当者
<講演1>13:30~14:30 講師: 特定社会保険労務士 山延 暁美
~これから採用!~ 短時間・有期契約社員の採用実務
非正規労働者を採用する時の考え方
<概要項目>
正規雇用労働者と短時間労働者、有期雇用労働者の違いとは
多様な働き方(雇用区分)とは
就業規則(各雇用区分に対する社内ルールブック)…
皆様こんにちは。HIELCCの相談員をしています特定社会保険労務士の吉田輝明です。
実は面接時に聞いてはいけないことがいくつかありますので紹介します。
①「本籍・出生地」に関すること
②「家族」に関すること(職業・続柄・健康・病歴・学歴・収入など)
③「住宅状況」に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類など)
④「生活環境・家庭環境」に関すること
⑤「宗教」に関すること
⑥「支持政党」に関すること
⑦「人生観・生活信条など」に関すること
⑧「尊敬する人物」に関すること
⑨「思想」に関すること
⑩「労働組合(加入状況や活動歴など)」、「学生運動など社会運動」に関すること
⑪「購読新聞・雑誌・愛読書など」に関すること