こんにちは。HiELCC相談員をしている吉田です。
解雇とは、使用者の一方的な意思表示により労働契約を終了させることをいいます。
まず労働基準法では
労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日以上前に予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
平均賃金を何日分か支払った場合には、その日数分だけ予告期間を短縮することができます。(第20条)
予告は口頭でも有効ですが、言った言わないのトラブルを防ぐためにも文書で行うようにしましょう。 また解雇の予告がされた日から退職の日までの間に、労働者から解雇の理由について証明書の請求があった場合には、使用者は遅滞なくその証明書を交付しなければなりません。(第22条第2項)
それでは上記の手順を踏めば誰でも解雇ができるのかといえばそうではなく、労働契約法で
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(第16条)
となっています。
つまり気に入らないからとか、些細なミスをしたといった程度では解雇は認められないということになります。 就業規則に解雇事由を記載したうえで、まずは指導・教育に力を入れる必要があります。 解雇の有効性については最終的には司法での判断となり、双方に金銭的にも時間的にもコストが発生してしまいます。
トラブルを未然に防ぐためにも、簡単に解雇するのではなく、しっかり労使のコミュニケーションを取りながら、また裁判例も参考にしながら慎重に進めていくことが必要となるでしょう。
最後に解雇制限(解雇が禁止されているケース)の主なものについて記載しますのでご留意ください。
労働基準法
・業務上災害のため療養中の期間とその後の30日間の解雇 ・産前産後の休業期間とその後の30日間の解雇 ・監督機関に対する申告を理由する解雇
男女雇用機会均等法
・性別を理由する解雇 ・結婚、妊娠、出産、産前産後等の休業を理由する解雇 ・育児介護休業法 ・育児休業・介護休業等を取得したことを理由とする解雇
詳しくは、HiELCCまで遠慮なくお問い合わせください。 広島県・今治市雇用労働相談センターでは、月曜から金曜までの午前9時から午後5時まで、弁護士・社労士が無料で相談に対応しております!
こんにちは。HiELCC相談員をしている弁護士の下西です。
売り手・買い手のニーズが合致してM&Aによる経営統合が進むことになった場合、売却代金を含む売却条件を決定するための前提となる売り手側の会社の状態を調査することがあります。この調査を「デューディリジェンス」(DD)といいます。今回はこのDDについて主として労働関係の調査(労務DD)について解説します。
1.M&Aの時の労務DDの必要性
企業のM&Aの場面では、売り手側は従業員の雇用を守ってほしいという思いがあり、買い手側もキーマンとなる人には残ってもらいたいという思いがあるため、ある程度利害が一致することが多いといえます。しかしながら、労働関係を承継するということはそこに含まれるリスクも引き受けることになります。したがって、売却の諸条件を決めるにはそのリスクの内容や程度を把握する必要があります。
2.調査の対象となる主な事項
労働関係の調査時には、まずは簿外債務、すなわち未払残業代を含む賃金未払いや退職金等を調べます。さらに、将来において監督官庁から是正を求められるリスクも把握するため、過去の法令遵守体制や規程不備による労働基準監督署等からの是正勧告や指導の履歴を調べます。また、過去に発生した、従業員や労働組合との間での係争を調べることで、将来においても同種の係争が生じるリスクがあるかを予測します。
これらのリスクを調査した上で、①そもそもM&Aを進めることができるのか否かを再考する、②M&Aの実行までに売り手側が是正する、③買収価格や買収条件に反映させる、④リスクのないことを表明・保証する、⑤M&A実施後に労働条件の変更や労使関係の運営の改革の方針を立てる準備をすることとなります。
3.調査方法
売り手側はM&A自体を知っている人間が限られているので、買い手側の調査に協力できるリソースに限界があります。そこで、買い手側はそれを理解した配慮が求められます。例えば、資料請求の場面では、以下のような工夫例が考えられます。
・資料提供リストを作って共有する
・必要資料の優先度・重要度を付ける。
・資料が必要な年度を限定する
・原本である必要性が高くないものは一覧表のみで可能とする
また、質疑応答(インタビュー、書面によるQ&Aなど)では次のような工夫例が考えられます。
・予めインタビュー事項を列記して共有しておく
・YES/NOで回答できるように質問を工夫する
・予め提出してもらった資料に記載されたことを重複して聞かない
・確認が必要な事項はインタビュー後にメモで回答してもらう
・議論をするのではなく、あくまで事実の聴き取りに徹する
4.M&A後の労務DDの活用 労務DDはM&Aの交渉の段階で行われますが、第三者の目で労働関係を調査した結果は、M&A後にも活用できます。すなわち、労務DDの結果、当該会社の雇用規定や雇用環境、そして従業員の抱える問題を可視化できます。買い手側が、労務DDで得た当該会社の問題点を事前に把握することで、労働環境の改善に着手しやすくなるという利点があります。その結果、従業員のモチベーションアップや離職防止につなげることができます。また、買い手側が当該会社の従業員の待遇を自社又はグループ企業と調整する際に、労務DDの結果があれば、人事の担当者がスムーズに労働条件の調整の準備を進めることができます。
詳しくは、HiELCCまで遠慮なくお問い合わせください。 広島県・今治市雇用労働相談センターでは、月曜から金曜までの午前9時から午後5時まで、弁護士・社労士が無料で相談に対応しております!
HIELCCの相談員の特定社会保険労務士 山延暁美です。
さて、2019年に改正された労働施策総合推進法において、
職場におけるパワーハラスメントについて事業主に防止措置を講じることが義務付けられています。
(大企業は2020年6月1日から、中小企業は2022年4月1日から)
職場におけるパワーハラスメントの防止のために講ずべき措置としては、
①事業主の方針等の明確化及びその周知 ・ 啓発
②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
④そのほか併せて講ずべき措置 (プライバシー保護、相談等したことを理由とした不利益取扱いの禁止)
があります。
職場におけるパワーハラスメントとは、職場において、
①優越的な関係を背景として行われた
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③労働者の就業環境が害されるもの
上記①~③すべてに該当するものとされています。
一方、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません 。
パワーハラスメントの代表的な言動としては、優越的な関係を背景として行われた、
1.身体的な攻撃(暴行・傷害)
2.精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
4.過大な要求(業務上の明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
5.過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
以上6つが代表的な類型とされています。
しかし、実際のケースでは、これにあてはめるだけでは推し量れないケースも多く見受けられます。
相談があった際、それがパワーハラスメントに当たるのか当たらないのか、
判断が難しい場合もあります。
この判断に当たっては、上記「③労働者の就業環境が害されるもの」の判断基準として、
「平均的な労働者の感じ方 、すなわち 、同様の状況で当該言動を受けた場合に、
社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと
感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当」とされているので、
それを踏まえながら、総合的に考慮して判断することが必要です。
いずれにしても、個々のケースごとに適切に判断し、丁寧に対応することが求められます。 広島県・今治市雇用労働相談センターでは、月曜から金曜の9時から17時まで、弁護士・社労士が無料で相談に対応しております!
こんにちは。HiELCC相談員をしている弁護士の山崎です。
事業主が労働者の募集を行ったり、ハローワークや職業紹介事業者へ求人申込みを行ったりする場合には、労働者(求職者)に対して賃金や労働時間等といった労働条件を明示することが法律上求められているところですが(職業安定法5条の3)、令和6年4月1日からは、明示すべき事項が新たに加えられることとなりました。
具体的には、
①業務内容としては、従事すべき業務の変更範囲を
②就業場所としては、従事すべき就業場所の変更範囲を
③契約期間としては、有機労働契約であれば更新の基準を (更新条件、通算契約期間、更新回数の上限)
を明示しなければならないとされます。
(なお、労働契約締結時に交付される労働条件通知書等に明示すべき労働条件についても同趣旨の改正がなされますが、スペースの都合上、割愛させていただきます。)
(参考)厚生労働省「求人企業の皆さま」
https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf
募集時に求人票の記載などで示される労働条件と採用後の労働条件との間で食い違いが生じると無用のトラブルが発生しかねませんし(「求人詐欺」と呼ばれることもあります。)、虚偽の労働条件を示して労働者の募集を行ったと認定されてしまうと罰則が科されることもあります。
こういったトラブルを防ぐためには、募集時においては所定の労働条件を明示することが必要となりますし、仮に、募集時とは異なる労働条件で労働契約を締結する場合には、労働者に対してその旨を十分に説明し、労働者の理解と納得を得ておくことが必要となるでしょう。
詳しくは、HiELCCまで遠慮なくお問い合わせください。 広島県・今治市雇用労働相談センターでは、月曜から金曜までの午前9時から午後5時まで、弁護士・社労士が無料で相談に対応しております!
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様々な働き方には様々な人材確保を
~雇用契約と委託契約~ 企業にとっての人材確保の方法には、自社の従業員として人材を雇用する雇用契約以外にも、副業やフリーランスなどを含めた業務委託契約や、派遣契約という方法もあります。 企業内の業務によって、適切な人材確保の方法を選択することが重要となります。 主だった人材確保の方法として、雇用契約(および派遣契約)、業務委託契約の2つを取り上げ、企業から見たそれぞれの特徴、留意点等をご紹介します。 本セミナーはこんな方にオススメです!・様々な働き方と人材確保の方法を知りたい方 ・自社に見合う人材確保をするための知識が知りたい方 ・業務委託契約を検討されている方
セミナー概要
開催日時/2024 年 3 月 12日(火)13:30~16:30 開場時間/13:15 場所/広島商工会議所(定員:20名) + オンライン(定員:100名) 〒730-0011 広島市中区基町 5-44 広島商工会議所ビル 307号 対象/事業主、管理職、人事労務担当者 共催/広島県/広島労働局/公益財団法人産業雇用安定センター広島事務所
講演1>
13:30~14:30 講師/ 中川 玲子 特定社会保険労務士
今どきの人材確保
~企業の生産性向上には多様化した人材確保を!~
企業の生産性向上に重要な要素となっている一つに「人材の確保」があります。 多様な働き方を認め「働きがいのある職場」を実現するには、自社に見合う制度を整えて多様な人材確保をしていくことが重要です。 本セミナーでは、自社に見合う人材確保をするにあたって知っておきたい知識等を解説します。 <概要項目> ① 生産性の向上は人材確保から ② さまざまな形態の人材確保は雇用と委託の整備確認 ③ 雇用の形態「正社員・非正規社員・派遣社員」 ④ 業務委託の形態「請負・委任/準委任」 ⑤ 副業(雇用・業務委託)とフリーランス(業務委託) ⑥ 業務分析から業務の切り出しと業務改善へ
講演2>
14:40~15:40 講師/滑川 和也 弁護士
業務委託契約
雇用との違い、具体的な契約のイメージを持とう
AIなどの技術革新が進み、多様な働き方が受け入れられている中で、従業員(雇用)ではなく、フリーランス(業務委託)を選択する個人、企業が増えています。…
皆様こんにちは。HIELCCの相談員をしています特定社会保険労務士の吉田輝明です。
あなたの会社では労働時間をきちんと把握されていますか?
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が平成29年1月20日に策定されています。
その中のポイントとして「使用者には労働時間を適正に把握する責務があること」があります。。
まず労働時間の考え方ですが
労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、 使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たること
とされています。
例えば、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間は労働時間に該当します。
また、着替え時間、掃除の時間、始業前に行う朝礼時間等も同様に業務上義務づけられているのであれば労働時間に該当します。
次に労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置ですが 〇使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること
とされています。
まず原則的な方法としては
◯使用者が、自ら現認することによる確認
◯タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し適正に記録
となります。
やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合ですが
自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明をおこなうこと
自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること
使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設けるなど適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者において慣習的に行われていないか確認すること
とされています。
企業や業種によっては自己申告制を取らざるを得ないケースはあるでしょうが、上記のルールを守ることによって労使のトラブルを未然に防ぐことができます。
もっと詳しく知りたいという方は広島県・今治市雇用労働相談センターまで
お問い合わせください
広島県・今治市雇用労働相談センターでは月曜から金曜の9時から17時00分まで 弁護士・社労士が無料で相談に対応しております!
[副業]からはじめる[創業]による自己実現のかたち
新たな創業の担い手の推移をみていくと「副業による起業者」「副業による起業準備者」が増えてきています。 新しい働き方や自己実現の選択のひとつとして、今後ご自身がやりたいことを副業でチャレンジしてみたい、創業による副業でビジネスを始めたい、そんな風に考えている方を対象としたセミナーを開催いたします! 今回のセミナーは2部構成となり、1部では現行の副業制度について弁護士先生が分かりやすくポイントを解説いたします。2部では、1部で抑えたポイントを意識しつつ、実際に広島で副業から創業に至った先輩起業家・経営者をゲストに迎え、副業から創業した際に工夫してきた事、苦労してきた事、副業のやりがいなどについて、ざっくばらんに実体験をお話いただき、最後は副業で創業するため、パラレルキャリアを実現するために、具体的な制度や法律だけでは理解が難しい部分について、会場にお集まりの皆さんの不安点や質問にお答えしていきながら、会場参加型のトークセッションを予定しています!アクションしようとおもっているものの、悩みや不安点、確認事項などご相談するタイミングや場所に悩まれる方も多いと思いますので、ぜひこの機会に一緒にトラブルを未然予防するポイントを整理しつつ「副業・パラレルキャリア」のセカイを覗いてみましょう! 本セミナーはこんな方にオススメです!・副業による創業を考えているが具体的なアクションの前に知識をつけたい方 ・副業による創業についての実際の経験を先輩起業家から学びたい方 ・副業人材の雇用や活用を視野に入れている創業者の方 (将来の採用・チームアップに副業を活かしたいと考えている創業者の方) ・パラレルキャリアに興味のある方。将来的にパラレルキャリアを考えている方。 など
セミナー概要
※各構成の時間については事前の予告なく変更となる場合がございます
開催日時:令和6年1月24日(水)18:00~20:00 開催場所:東広島イノベーションラボ ミライノ+ 募集人数:20人(無料・先着順) 18:00 (1部) <弁護士と学ぼう!>副業制度のミニセミナー(30分間) 「副業に関する雇用契約・法制度等を学びトラブルを未然に予防!」 講師:弁護士法人広島総合法律会計事務所 広島県・今治市雇用労働相談センター 代表弁護士 向井良(むかいりょう)氏 18:30 (2部 前半) <副業から創業した先輩の実体験から知ろう> 副業による創業事例紹介 (30分) ゲスト:石崎 浩太郎(いしざき こうたろう)氏 NECソリューションイノベータ株式会社 合同会社Remon.Lab 19:00 (休憩)10分 19:10 (2部 後半) <弁護士と先輩起業家に聞いてみよう!> 質問会・トークセッション (30分) 19:40 クロージング~終了 20:30頃まで 必要に応じて弁護士へ無料個別相談が可能となります また、ゲストの先輩起業家石崎氏ともお時間が許す限り交流・ご相談いただけます。 ※各構成の時間については事前の予告なく変更となる場合がございます
講師プロフィール
向井 良(むかい りょう)氏
【所属】 弁護士法人広島総合法律会計事務所 広島県・今治市雇用労働相談センター 代表弁護士 【得意分野】…
職場のメンタルヘルスのいろは
~事例から見る予防・対応方法~ みなさんの会社は従業員の「心の健康」対策に取り組んでいますか? 「心の健康=メンタルヘルス」が整っているうちは問題なくとも、メンタルヘルス不調となってしまった場合、本人だけでなく職場全体に影響がおよぶ事もあります。 「従業員のメンタルヘルス不調が職場などに及ぼす影響ってなんだろう?」 「自社の従業員がメンタルヘルス不調にならないために、どんな対策がとれる?」 第1部では発生時の対応と予防について解説いたします。 第2部では紛争予防の観点から法的対応について解説いたします。 本セミナーはこんな方にオススメです!
・メンタルヘルス不調者への対応について知りたい方・従業員がメンタルヘルス不調者にならないための対策を知りたいか方 ・総務・人事労務の担当者としての自分の知識を確かめたい方
セミナー概要
開催日時/2024年2月15日(木)13:30~16:30 開場時間/13:15 場所/広島商工会議所(定員:20名) + オンライン(定員:100名) 〒730-0011 広島市中区基町 5-44 広島商工会議所ビル 307 号 対象/事業主、管理職、人事労務担当者
講演1>
13:30~14:30 講師/ 西本 秀子 特定社会保険労務士
メンタルヘルス対策と企業としての対応
メンタルヘルス不調者発生の予防と関連する内容についての企業対応 <概要項目> ・メンタル不調者が発生しにくくなるケア ・健康診断の仕組 ・ 精神疾患が要因の労災申請 ・ 傷病手当金の制度
講演2>
14:40~15:40 講師/西 剛謙 弁護士
メンタルヘルス不調が発生した場合の職場における法的対応
近時、職場環境が変化する中、人間関係の複雑化や長時間労働など心身へのストレスが高まり、メンタルヘルスに不調をきたす人が増えていると言われています。 そのような不調者が生じてしまった場合に職場としてどのように対応すべきか、紛争予防の観点から検討を試みます。 <概要項目> ・ 不調者が発生した場合の対応(配置転換、休職など) ・ 職場復帰 ・ 退職、解雇、懲戒処分その他
個別相談会(希望者)>
15:50~16:30
労働問題に関して、日ごろから悩みや疑問を感じておられる方の相談に、講師が個別にお答えします。また、当日のテーマ以外のことであっても、専門家(社会保険労務士及び弁護士)が丁寧に対応させていただきます。当日お時間の取れない方には、来所相談や個別訪問の予約を承りますので、お気軽にご相談ください。
参加申し込み…
HiELCC相談員を務めております弁護士の 車元 晋 です。 今回は、以前私がセミナーでもお話ししました、「現金(通貨)払の原則と、振込払の場合のルール」についてご説明したいと思います。
労働者への賃金の支払について、労働基準法24条で定める4つの原則があります。
●通貨払いの原則(通貨で支払わなければならない) ●直接払いの原則(労働者に直接支払わなければならない) ●全額払いの原則(全額を支払わなければならない) ●定期日払いの原則(毎月1回以上一定期日を定めて支払わなければならない)
例えば、使用者(企業・事業者)には、使用者からの一方的相殺は原則できない(全額払いの原則より)といった制約が課されることになります。 「通貨払いの原則」により、給料は「通貨(現金)」で支払わなければなりません。現物支給ではなく通貨での給料支払を保証することが、労働者の生活を守るために欠かせないからです。 しかし、多くの企業では、給料を口座振込で支払っているのではないでしょうか。
給料の振込払は、「通貨払いの原則」の例外として、要件を満たした場合に限り認められることになっています(労働基準法施行規則7条の2)。 労働者の同意がある場合に、労働者が指定する労働者の預貯金口座等への振込・払込をすることが認められています(加えて、退職手当については、小切手・郵便為替による支払も認められます)。
行政指導で、細かいルールも定められており、
① 所定の賃金支払日の午前10時頃に払出しが可能となっていること ② 労働者の過半数を代表する労働組合または過半数を代表する者と協定を締結すること ③ 賃金支払日に労働者へ賃金の支払に関する計算書(給与明細等)を交付すること
も順守しなければなりません。
企業で、従業員に対し特定の金融機関の預金口座を振込先口座として指定している場合がありますが、労働者の同意なく、労働者の希望と異なる特定の金融機関への振込のみを認める扱いは、通貨払いの原則との関係で問題がありますので、注意が必要です。
このほか、最近のトピックとして「デジタル払」(決済アプリ(○○ペイ)や電子マネーによる給与の支払)がありますが、こちらも、「通貨払いの原則」の例外の要件(労働者の同意や、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座であること等)を満たす場合に限り認められます。
詳しくは、こちらのコラム(2023年5月2日「賃金の支払いもキャッシュレスへ。賃金デジタル払いが解禁」)で解説していますので、そちらもご覧になってください。
また、施行後の最新の情報については厚生労働省のウェブサイトもご参照下さい。 以上、参考にしていただけましたでしょうか。さらに詳しい情報を知りたい場合は、広島県・今治市雇用労働相談センター(HiELCC)が開催する無料セミナーにご参加いただくか、お気軽に当センターまでお問合せ下さい(月曜から金曜の9時から17時まで、無料相談を受け付けております)。
いつも広島県・今治市雇用労働相談センターをご活用いただきましてありがとうございます。年末年始の相談受付に関するお知らせです。
年末年始の相談受付について
■最終相談受付日:12月28日(木)~17:00 ■休業期間 :12月29日(金)~1月3日(水) ■新年相談受付開始日: 1月 4日(木)9:00~ 休業期間中、大変ご不便をお掛けいたしますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。 年末年始休業の間にメールやチャットでいただいたご相談につきましては、1/4(木)の営業再開以降、順次ご連絡・ご回答させていただきます。 ご相談状況によっては、回答までにお時間を要する可能性がございますので、予めご了承下さい。 来年も、本年同様ご満足いただけるサービスの提供を目指し、より一層精進して参ります。 今後とも変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。 広島県・今治市雇用労働相談センター 事務局
こんにちは。HiELCC相談員をしている弁護士の下西祥平です。
「セクハラ」が発生しているにもかかわらず、会社が何らの措置も講じない場合には、職場環境への配慮に欠けるとして民事上の損害賠償責任を問われたり、行政指導や企業名の公表等の行政上の制裁措置が講じられることがあります。
もっとも、一言にセクハラといっても、具体的に何があったのか分からなければ適切な対処方法を見出すことができません。 まずは、何がセクハラにあたるのかを整理する必要があります。男女雇用機会均等法(正式名称は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」)第11条による整理では、セクハラとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により職場環境が害されることを指します。
セクハラは、同僚同士や上司に対しても成り立ちますし、同性に対しても成立することがありますし、現在の指針では、LGBTQ等の性的少数者も対象とされています。また、広義のセクハラは、職場外での性的言動も含みます。いかなる「性的言動」がセクハラに当たるかについては、過去の裁判例や人事院規則の例が参考になります。例えば、性的な関係を強要したり、必要なく身体に接触することは当然セクハラにあたりますが、それにとどまらず、会話の中で性的な事実関係を尋ねたり、性的な冗談を交わしたり、性別により差別しようとする意識を伺わせるような発言をすることもセクハラと判断されるおそれがあります。
具体的な相談が会社になされた際には、まず、セクハラに相当する事実の有無を調査することになります。調査時に注意すべき点は、被害を訴えている労働者が会社に対して不信感を抱くことがないよう、理解と納得を得るように努めることです。他方、過度な期待を抱かせないようにすることも大切です。また、事実関係が明確でない段階で加害者とされた労働者を責めるような発言をしないことも肝要です。
調査の結果、セクハラの事実が確認できた場合の対応は、厚生労働大臣による指針(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき 措置等についての指針)が参考となります。例えば、就業規則その他の規定に基づき、行為者に対する懲戒処分など必要な措置を講じるほか、被害者と行為者との間の関係調整、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復等の措置を講じることなどが適正な対応例とされています。さらに、職場におけるセクハラに関する方針を周知・啓発すること等再発防止に向けた措置も重要です。
以上の通り、セクハラの事実が疑われた際には、事実関係の調査を適切に行い、セクハラに当たるか否かについて、専門家に相談の上、慎重に判断し、セクハラに当たり得る場合には、指針に従った適切な措置を講じる必要があります。最初の一歩を間違えないために、是非本センターなど専門家へのご相談をお勧めします。
事業主・管理職のための人事労務
~安定した会社運営と働きやすい会社づくりに向けて~ 人事労務管理を円滑に行えていますか? このセミナーは、第1部では人事労務管理のポイントに関して、第2部では判例を基に紛争予防について解説いたします。 本セミナーはこんな方にオススメです!・事業主・管理職が行うべき人事労務管理を知りたい方 ・人事労務管理に重要なポイントが知りたい方 ・労働条件を変更する際のルールや留意点を知りたい方
セミナー概要
開催日時/:2024年1月16日(火)13:30~15:40 開場時間/13:15 場所/広島商工会議所(定員:20名) + オンライン(定員:100名) 〒730-0011 広島市中区基町 5-44 広島商工会議所ビル 306 号 対象/事業主、管理職
講演1>
13:30~14:30 講師/ 中川 玲子 特定社会保険労務士
事業主・管理職が行うべき人事労務管理とは?
企業の経営資源は「ひと・もの・かね」からプラス「情報」、その後「時間、知的財産、ブランド」と拡張され言われていますが、「人」は経営資源の最初の要素であり、最も重要と考えられます。 どんなに自動化されようともそれを使う「人」がいないことには何も意味をなし得ません。人材を確保し継続させること、人財化させることが、企業経営のかなめとなります。 人事労務管理に対する意識や心構えをもち、経営に与える影響の大きさを正しく認識していただきたく、最低限に身につけておくべきポイントをまとめました。 <概要項目> 1 経営資源の「人」 2 人事労務管理の役割と役目 3 人事労務管理の行なうべき業務 4 最低限 押さえておきたい法令 5 労務管理を円滑に進めるための4つのポイント
講演2>
14:40~15:40 講師/車元 晋 弁護士
労働契約の締結、締結後の注意点
紛争予防を意識して
労働契約の締結や締結後に注意すべきことについて、「紛争予防」の視点を意識しながら、法令・裁判例・雇用指針等を交えて説明します。 <概要項目> ・採用時、労働契約締結時の注意点 ・労働契約と労働法(労働基準法、労働契約法等)との関係 ・労働条件変更のルールや注意点 ・専門家(社会保険労務士や弁護士)への相談の時期、内容について
個別相談会(希望者)>
15:40~16:30
労働問題に関して、日ごろから悩みや疑問を感じておられる方の相談に、講師が個別にお答えします。また、当日のテーマ以外のことであっても、専門家(社会保険労務士及び弁護士)が丁寧に対応させていただきます。当日お時間の取れない方には、来所相談や個別訪問の予約を承りますので、お気軽にご相談ください。…